経産省がやっと本気で調査を始めた『雇用関係によらない働き方』でフリーランサーの綱渡り感がよく分かる

経済産業省「雇用関係によらない働き方に関する調査会」の報告書が、昨秋から4回にわたって発表されている。

約4000名のフリーランス、パラレルワーカーを対象にアンケートを実施しており、形だけの研究会かと思いきや意外と本気で統計を取っている。

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ただ今回の調査は幅広いフリーランスを対象にしているため、当然ながら「独立して成功したフリーランス」も対象になっているため、調査結果は平均値になっているのだと思う。
ちょっとその報告書の内容と共に、シナリオライターの実態について書いてみようと思う。

1.社会保障なんて一切ない!


フリーランスと会社員を比較した時に、一番顕著に現れる違いが社会保障だ。

労災保険:なし
傷病手当金:なし
出産手当金:なし
育児休業給付:なし

加えて健康保険も、適切な組合に加入出来ないと、国保になり割高になる。
フリーランサーが各々で民間の保険に加入して備えることも出来るが、国としての公的補償はないのだ。

これだけ見ても、国はフリーランサーというものを
一般の労働者とは違うものとして切り離しているように感じる。

2.スキルアップが出来ない


全てのフリーランスがその道のプロフェッショナルと言うわけではないです。
フリーランスになってから、新規業務を請けることもあります。

しかし新規の領域で失敗したとなれば大きな痛手を負うことになるので、新規領域へのチャレンジが出来ない状態になっています。

スキルアップのためになるような勉強会、研究会、セミナーなど、職種によってまちまちです。
エンジニアのセミナーは良く聞くけど、逆にシナリオライターの勉強会はあまり聞いたことがないです。

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比較的あるのが「初心者向け」のシナリオライター講座です。
キャリア5年以上のシナリオライターに向けた勉強会があれば参加したいと思うが、あるのだろうか?

もっとも、勉強会に参加できる時間的・資金的余裕がなければ参加できないのだが。

3.フリーランスを上手く活用出来ない企業


フリーランスは、企業と契約を結び、業務を請け負うのが仕事です。

しかし、「働き方改革に関する企業の実態調査」によれば、フリーランス人材を「活用している」企業は18.9%に過ぎません。
また、「現在活用しておらず、今後の活用も検討していない」と回答した企業は半数近くに上った。

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これはフリーランス人材の可能性を見出せていない企業が多いということで、非常に残念な数字。

シナリオライターも外注ばかりではなく内勤での募集も多くあり、それには波があります。

スマホアプリの黎明期には、基本的に外注案件が多くありました。
しかし、スマホアプリで従来のビジネスモデルよりも多くの売上が見込めると分かる様になると、外注ではなく内勤で雇いたいという風に変化していきました。

ただその場合も正社員ではなりません。アプリの内容によっては「シナリオが必要なくなる」場合もあり、雇われているシナリオライターの殆どが、派遣契約か、社内常駐の業務委託契約でした。

これはサイバーエージェント系列でもそうですし、DeNA系列でもそうです。
(私は2社とも派遣契約で勤務したことがありますので)

理由は、外よりも中の方が意思疎通、また行動力の点で違いが出てくるからです。
スマホアプリは、時流やKPIに沿って製作すべきモノが変わる可能性があるので、即断即決が鍵になってきます。

ただ、だからと言って外注が使えなくなったというわけではありません。
いまスマホアプリ企業のほとんどは、外注を上手く使いこなせていないと思います。

4.フリーランスのシナリオライターに人生設計はない


ここ10年の間に、私は会社勤務とフリーランスを繰り返しつつ、なんとか生き延びて来ました。

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しかしフリーランスにとって一番の悩みは、何をおいてもまず「お金」です。

お金を稼ぎすぎて節税対策が大変だ、という方向の話ではありません。
全くその正反対で、「1ヶ月暮らせるだけの生活費を稼げるか?」という問題に直面しているシナリオライターは多いです。

欲を言えば「週2日くらい休んでも、1ヶ月暮らせるだけの生活費を稼げる」ようになれれば最高です。
敢えてこう表現すると言うことは、基本的にフリーランスは休日がないということです。

誕生日でもクリスマスでも大晦日でも、何とかして仕事をしていないとお金にならないので仕事をするしかないわけです。
3日休んで3万強も減るのだったら、仕事した方がいいと思うのが賢い判断だと思いますし。

そんな生活をしていて、自分の書いた作品が大ヒットとなり、注目を集めることがあるかも知れません。
しかしそんな注目のシナリオライターだとしても、次の案件の請負単価が、2倍、3倍となることは、まずあり得ないでしょう。

もうかれこれ10年前から、シナリオの単価はKB当たり1000円が基準というのがあります。
誰がそれを初めに言い始めたのかは分かりません。
でもその数字がゲーム業界には深く浸透しています。禍々しい数字です。

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赤裸々に語ってしまうと、過去もっとも高かったシナリオの単価は1KBあたり1700円でした。
私の知り合いには、乙女ゲーで1KB2000円で請けたという方がいます。
でも、それ以上の高単価を私は知りません。

そしてその数字も、『たまたまその取引先の、その案件だけ、その数字で契約が結べた』というだけです。
もしかしたら業界トップクラスのシナリオライターなら、もっと高いのかも知れません。真実は分かりません。

フリーランスであること。
フリーランスのシナリオライターであることに誇りを持ちたいと思いますが、いまの実情を考えると難しいです。

私は「フリーランスのシナリオライター」がどんなものなのか、と聞かれたときに答える決まり文句があります。
それは「例えるなら、売れない芸人みたいなものだよ」です。
あながち間違いではないと思います。

実際駆け出しのシナリオライターの中には、シナリオの単価が安すぎて、
派遣バイトで生活費を確保しつつ、シナリオを書いている方もいますからね。

政府には、もっと深く切り込んでもらいたいなあと思います。

アニメクリエイターの問題にも近いものがあるかも知れないが、
このような状態で、結婚できますか?子育て出来ますか?家買えますか?ということを聞きたい。

今回は経産省の『雇用関係によらない働き方』を元に、フリーのシナリオライターに着眼して書いてみました。



ちなみに。
ゲームシナリオ、世界観設計、キャラクター設計、諸々に関するご相談、お待ちしております。
こういう記事を書きましたが、いきなり高額のギャラを突き付けることはありませんので!

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by limpidelumiere | 2017-03-21 01:20 | word | Trackback | Comments(0)

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